アメリカの大統領専用機、エアフォース・ワンのように、日本にも総理大臣や政府要人の移動手段として使用される、政府専用機があります。テレビに時々登場しますね。
ここでは、あまり知られていない日本国政府専用機の内部の様子について、迫ってみたいと思います。
政府専用機は、どこが管理してるの?
日本国政府専用機は、1987年に2機の導入が閣議決定され、1993年に運用が開始されました。当時の副総理大臣兼外務大臣だった渡辺美智雄氏が、アメリカを訪れた際に初使用されたそうです。
用途は、政府要人の移動の他に、外国在住の自国民保護などのためにも使われます。2013年のアルジェリア人質事件発生の際、自衛隊法84条「在外邦人の緊急輸送」に基づき、政府専用機がアルジェリアに派遣されました。
管理・運用は、防衛省航空自衛隊が行っています。現在の機種は、ボーイング社が製造した“ボーイング747-400”で、2019年に退役が予定されています。
2014年には、後継機が“ボーイング777-300E”に正式決定しました。2019年には、機体の側面に曲線が描かれた、新デザインの政府専用機が就航予定となっています。
政府専用機は皇室が優先
政府専用機は、皇室も使用します。1993年、9月に今上天皇と美智子皇后が訪欧のために搭乗されました。天皇・皇后の外国訪問と総理大臣の外遊が重なった場合は、原則として皇室が優先されます。過去に天皇・皇后の英国訪問と内閣総理大臣のサミット出席の訪米が重なった際は、当時の総理大臣が全日本空輸の特別機を使用した例などがあります。
機内には、いろいろな設備があり、貴賓室もある。
では、機内の装備はどうなっているのか、気になります。内装は、政府要人のほかに、前述の整備員要員、また、同行する記者のための座席もあります。茶色やベージュなどの暖色系でまとめられてあり、落ち着いた雰囲気を醸し出しています。
前方から、天皇や総理大臣が使用する貴賓室、夫人室(官房副長官室)、秘書官室、会議室、事務室と続き、随行員室と呼ばれる準VIPの方の座席、その後ろに記者会見席と一般客室が配置されています。
一般客席は、前部に補佐官、後部は記者団に提供されます。同行する記者の人たちは、民間の航空会社運航便と同運賃の航空券運賃を支払って搭乗するそうです。いずれの座席にも、ノートパソコン向けの電源コンセントが備えられています。2階部分には、通信室や運航要員席、休憩室などが配置されています。
2002年に、カナダで開催された首脳会議に出席したドイツのシュレーダー首相が、横浜国際総合競技場で行われたFIFAワールドカップ決勝を観戦したいと、当時の小泉総理の帰途に政府専用機に同乗して来日したエピソードがあります。
これは異例中の異例とされていますが、ヒッチハイク外交として機内では日独首脳会談が和やかに行われたそうです。この時、小泉元総理は総理執務室をシュレーダー首相に譲り、自らは官房副長官室で休息したといわれています。
政府専用機は2機ペア。その理由とは?
現在、日本の政府専用機は、同機を2機保有していますが、この2機は通常ペアで運行されます。通常任務機と副務機です。任務機がなにかしらのトラブルなどで故障した場合、ただちに副務機が使用できるような体制となっています。
政府専用機には1機につき7人の整備員要員が同乗するそうで、国外でも自力で機体整備ができるように、あらゆる状況を想定して備品が搭載されているそうです。基本的には、副務機は必要としない装備がされてあります。
ただし例外もあり、2013年に皇太子と雅子妃がオランダの国王即位式へ行かれる日と、安倍総理のロシア・中東外遊の出発日が重なり、2機の政府専用機はどちらも予備機なしでそれぞれ任務に就いたことがあります。
本来の要人輸送機は、3機以上の体制が望ましいともいわれていますが、費用の面などから、現在は2機での運行となっているようです。
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