小池百合子さんが東京都知事として政務にとり掛かられたころから注目だった政策のひとつが、「築地市場移転問題」でした。豊洲市場への移転計画に“待った”“がかかった時も大きな話題となりました。
その他の問題や選挙で一旦影が薄くなった「築地市場移転問題」ですが、結局どうなるのでしょう?ここではそれほど遠くない未来、築地市場と豊洲市場がこれからどうなっていくのか、小池百合子さんの考えを見てみたいと思います。
そもそも築地市場はなぜ移転が必要なのか?
小池百合子さんが都知事として政策にとりくむ中でも、特にメディアに大きく取り上げられていた問題のひとつが「築地市場移転問題」です。では、そもそもなぜ築地は移転しなければらないのでしょうか?
築地市場は、戦前の昭和10年に開場し、すでに75年以上が経過しています。移転理由の大きな原因が老朽化です。施設や建物の一部が劣化により破損したり落下したりするなど、安全面で多くの問題が発生しているのです。
さらには、取り扱う商品や荷が増えて、場所が狭くなってしまったことなども要因だそうです。適切な場所に置けなかった荷を一時的に場外へ置くなど、品質保持の徹底が難しくなってしまったり、場内が込み合うため作業効率が悪くなるなどの悪循環が、取扱い数量の減少などにつながっているといいます。
結果、都民の食生活に多大な影響を与える危険性や、自然災害・震災の影響も懸念されることから一刻も早い改善が必要であるとされています。
そこで打ち出された改善策が、豊洲への移転です。現在の築地の再整備も長期にわたり検討・協議が重ねられ、昭和63年に再整備の基本計画が策定されましたが、さまざまな問題から平成11年に現在地・築地での再整備は困難であるとされ、移転整備へ方向転換するべきという意見が集約したそうです。
豊洲市場の抱える問題、移転への「待った」
平成13年12月には「東京卸売市場整備計画(第7次)」にて、豊洲への移転が決定します。そこから基本構想を策定し、施設の規模や配置などで市場関係業界との合意を得て計画が進められました。
移転計画に「待った」がかかったのは、ニュースなどでも取り上げられた豊洲の土壌汚染が、ひとつの要因となっています。では、なぜ、豊洲市場予定地の土壌が汚染されていたのでしょうか?
豊洲予定地は、昭和29年に海面の埋め立てが始まり、都市ガスの製造工場が建設されました。昭和31年から63年まで、製造・供給されていたそうですが、現在は撤去されています。その都市ガス製造の際に生成された副産物(ベンゼン、シアン化合物など)が、現在の土壌の汚染の元となっているということです。
東京都は、豊洲へ移転するにあたり、土壌調査を行いました。調査の結果、環境基準を超える地点は、土壌、または地下水で全体の36パーセントであり、敷地全体に高濃度の汚染は広がってはいないという報告があったそうです。
東京都はこれを受け、より安心であり安全性を確保するため、法令で求められる水準以上の対策をとることにしました。すでに上記の土壌汚染対策に850億円が費やされているといいます。
いまひとつの要因は、費用の問題です。全体予算は2011年の時点では3926億円だったのに、2015年3月時点で5884億円と4年間で増大しているそうです。建設コストの高騰で、建設費だけが急に膨らんでおり、こちらの原因究明も急がれています。
昨日、都民ファーストの会 東京都議団として初めて全体視察を行い、築地市場、豊洲市場、オリンピック・パラリンピックの会場予定地などを一日かけて視察をいたしました。
今後の議会活動にしっかりといかしてまいります。 pic.twitter.com/818jyCwAst
— 【公式】都民ファーストの会 (@tomin_1st) 2017年10月7日
東京都に任された「移転するのか?否か?」
小池百合子東京都知事は、2016年7月の都知事選で、移転について「一歩立ち止まって考えなければならない」と発言し、移転反対派と賛成派の双方と面談したそうです。結果、さまざまな状況を受け、2016年8月の記者会見で移転延期の可能性を示唆しました。
2017年の計画
小池百合子東京都知事は、2017年6月、記者会見を開き、豊洲市場を「中央卸売市場プラス物流センター」として、土壌・地下水の安全対策をした上で移転すると発表しました。ただ、移転の時期については「市場関係者の方がたと詰めないと…」と明言は避けています。
一方、築地の跡地は、2020年の東京オリンピック、パラリンピックの開催に向けて都道の開通や整備をし、その後は再開発して「食のテーマパーク」の機能を持つ商業施設を整備するとしました。
築地と豊洲、両立をさせることが最も賢い使い道であると、小池百合子東京都知事は会見で述べたそうです。平和的な解決の実現へ、大きな一歩となることを期待したいですね。
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