明治維新のヒーローともいえる西郷隆盛ですが、現代でも銅像が有名です。東京の上野恩賜公園にある犬を連れている像を、まず思い浮かべる方が多いかもしれません。
一緒に銅像にされるほど、西郷隆盛は犬好きだったのでしょうか?その愛犬は、どんな犬でなんという名前だったのでしょう?
ここでは、西郷隆盛が飼っていた犬について、迫ってみたいと思います。
西郷隆盛が犬を飼い始めた意外な訳
西郷隆盛が犬を飼うことになった理由は諸説あると言われています。ひとつは、身内や友人から預けられた犬を飼い始めたところ、かけがえのない存在となるくらい大好きになってしまった、という説です。
そしてもっとも有名な理由は、ダイエットのためと言われています。明治維新後、徐々に肥満体型になってしまった西郷隆盛は、ドイツ人医師から「このままでは命にかかわる」とまで言われてしまったそうです。
それをきっかけに、西郷隆盛はダイエットに励むようになり、その一環として、狩猟を運動として取り入れるようになったと言われています。
狩猟には犬が欠かせません。山野で野うさぎなど狩りをしながら、たくさん歩くように努めていたそうです。
西郷隆盛が飼っていた愛犬の名前と犬種は何?
西郷隆盛が飼っていた犬の種類は、薩摩犬だったと言われています。薩摩犬という犬種は、鹿児島で古くからイノシシ猟の猟犬として重宝されていたそうです。
大きさは中型犬サイズで、性格は猟犬とされるだけに獰猛ですが、穏和で従順なところもあるとされています。野生のオオカミに近い犬種で、黒い瞳に、ピンと立った耳、泳ぎが得意だったと伝えられています。
薩摩犬は、1920年頃に絶滅したと言われていましたが、純血種の血統を濃く残した犬が生き延びていることがわかり、その後交配を重ねて血統の安定を図ってきました。しかし、あくまで血統が近い犬として他の犬との交雑が進み、本来の純粋な薩摩犬の復活、というまでには届かなかったようです。
2000年頃には、100匹ほどいると言われた薩摩犬ですが、薩摩犬保存のための繁殖活動を続けることが難しくなり、2010年ころには、薩摩犬は再び絶滅したと言われています。
西郷隆盛は、ツンという名前の薩摩犬をかわいがっていたことが知られています。ウサギ猟にもよく連れて行っていたようです。しかし、飼っていたと言われる犬はツン1匹だけではなかったそうで、多い時には十数匹もの犬を飼っていたとも言われています。
犬種はほとんどが薩摩犬でしたが、中にはオランダの犬もいたようです。十数匹も飼うほどですので、狩猟のためというだけではなかったかもしれません。西郷隆盛は大変な愛犬家だったと言えそうですね。
上野恩賜公園の西郷隆盛が連れている犬はツンだと言われていますが、ツンが雌犬なのに対しこちらの銅像は雄犬になっており、その姿かたちも似ていないとされることから、ツンではないという説もあります。制作時にモデルとした犬が異なっていたのでは?という見方もあるようです。
ツンの故郷・鹿児島県薩摩川内市にはツンだけの銅像があります。こちらは、平成2年に放送されたNHK大河ドラマ「翔ぶが如く」の記念として建てられたそうです。恩賜公園のツンの像と比べてみるのもおもしろいかもしれませんね。
西郷隆盛が最後に連れていた犬は?
明治10年、西郷隆盛は自身最後の戦いとなった西南戦争にも、犬を同行していました。追い詰められた城山で、最後の時を感じた西郷隆盛は、一緒にいた犬の首輪を外し逃がしたと伝わっています。
愛犬だけでも助かってほしいと願った西郷隆盛の優しさは、犬を単に狩猟のためとして飼っていたわけではなく、家族として愛情を注いでいた確かな証といえます。
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