政治を行う「国の代表」となる存在についてですが、首相であったり国王であったり、大統領であったり、…国によっていろいろと呼び方が異なっています。日本では天皇は象徴とされており、政治を司る長は “総理大臣”とか“首相”と表現します。アメリカなどでは“大統領”と呼ばれますね。では、“総理大臣(首相)”と“大統領”はなにが違うのでしょう?
ここでは、“総理大臣”と“大統領”の違いについて、迫ってみたいと思います。
総理大臣とは?
日本の総理大臣は、国会議員の中から、国会で選ばれます。国会の議決によって指名されたのち、天皇によって任命され、総理大臣が誕生します。総理大臣は、各省庁の大臣を任命し、大臣が各官僚を指揮するという構造になっています。
日本国憲法第65条に、「行政権は内閣に属する」とあるとおり、総理大臣ひとりに決定権があるわけではなく、行政にまつわる全ての審議は、国会で決定します。
議員内閣制をとっている日本では、総理大臣は、議会の信任にもとづいて存在するため、国会で内閣不信任案が可決されれば、総理大臣を含めた内閣を総辞職するか、衆議院を解散しなければなりません。
大統領とは?
一般に、大統領とは「国の顔」国家元首のことを呼びます。アメリカを例に挙げると、大統領は議会とは別に、国民の意志によって選挙で選ばれます。かならずしも連邦の議員である必要はないそうです。
また、合衆国憲法第2条に、「行政権は大統領個人に属する」とされているそうで、アメリカ大統領は全ての官僚を指揮する権力構造となっています。絶大な権力を、個人が持つことになります。
日本のように、議会から不信任を受けることはなく、議会を解散する権利もありません。議会に対して法律案を提出することもできないそうですが、議会の作る法案に対しての拒否権は持っているとのことです。
そのため、日本では多数派である与党が採決し、比較的法案が通りやすいことが多いですが、アメリカでは大統領と議会が意見の異なる政党の場合もあり、法案が通りにくいという事態もしばしばあるようです。
総理大臣と大統領の違いとは?
いわゆる「国家元首」と呼ばれる存在の大統領は、序列としては、総理大臣より上となるようです。
イメージとしては、王様が大統領であり、王様を補佐する機関が内閣や首相である感じでしょうか。持っている権限がまったく異なりますね。
しかしその権限も、国によって多少の違いがあるようです。
他の国はどうなってるの?
ヨーロッパなどでは、国王が統治する君主制が多くありました。現在もイギリスやオランダ、スウェーデンは国王が国家元首です。政治は、国民の代表が行う場合がほとんどのようです。
国王から国民の代表が統治する制度に移行した国では、国王にかわって、「大統領」が国家元首を務めるケースが多いようです。
また、フランスやロシア、ドイツやイタリア、韓国など、大統領と首相が両方存在する国もあります。その権力構造は各国によって異なっています。
ロシアやフランスでは、大統領がアメリカや韓国のような絶対的な権力を持ち、かつ、象徴的な役割も果たす存在だそうです。
さらにフランスでは、主に外交政策は大統領が行い、首相が内政を見るなど、役割が分担されていたりもします。ともに政治の実権を握っているため、首脳会議に大統領と首相が同席する場合があるそうです。
ドイツやイタリアは、大統領は儀礼的で象徴的な存在であり、政治に関することは、首相が行っているそうです。ドイツの大統領は、国会議員や州議会議員による選挙で選ばれますが、品位と教養が重視されるという話です。国民性がうかがえるのがおもしろいですね。
首相という呼び方は、日本の総理大臣の別称でもなじみがありますが、呼び方は同じでも、仕事内容は各国によってカラーがあるようですね。
この記事へのコメントはありません。